[キョウナナ] 81話の後のキョウナナ

성단 by 성단

なんだかうれしいのです。

その一言が頭の中をうろついていた。 俺がいて、俺を頼りにできて、俺と相談できるということが…。 「うれしい」と言ってくれた。 柊の顔はうそなどないすっきりした表情だった。 純粋に、俺との会話を喜んでいるように見えた。 きっと過去の俺だったら、柊をちゃんと知っている小野寺キョウヤだったら。 彼も今この瞬間を喜んだだろうな。 でも、今の小野寺キョウヤは柊にこんなことしか言えなかった。

...日記を読み返したが、お前さんとはいろいろやりあったようだな。

その瞬間、柊の表情が暗くなったことは、誰でもわかったはずだ。


帰る途端に日記を広げた。 日記の中で柊の話が書かれた部分を絶えずただ読んだ。 これらの文章の中に書かれた、事情のある殺人鬼の柊ナナを、どうしても思い出したかった。 日記を読んで知ったふりをする俺ではなく、この当時の小野寺キョウヤになりたい。 そうだったら、きっと柊に言えることが多かったのに。 それができたなら、柊を喜ばせることができたはずなのに…。


いつの間にか時間は午前0時を過ぎた。 夜が深く日記のページはめくられたが、 柊への俺の記憶には変化がなかった。 この前管理キャンプに新しく入ってきた新入監視人。 それだけだった。 日記を下ろして伸びをした。  どうやら不老不死の代価はますます深刻になり記憶をより早く消耗するようになったようだ。  ...このまま俺は、ずっと柊を思い出せないのだろうか。 そら笑いが出る。 妹さえ思い出せないやつが家族でもない他の人を思い出すわけがないじゃないか。  自分が情けない。 椅子にもたれかかったまま、言いたかった一言を詠んだ。

俺もうれしいんだ。

…伝えることができるはずないだろう。 柊が知っている小野寺キョウヤではなく、空っぽの殻に過ぎない俺がこんなことを言っても柊は喜ばないだろう。 それより、このままでそんなことを言い出す自分が納得できない。 すべてを知らない俺がこのようなうわべだけの言葉を話すのは、その瞬間の率直な感情を伝えた柊を裏切ることになるはずだった。

椅子にまっすぐ座った。 そしてまた日記を読みはじめた。 思い出さなければならない。 柊へのあの時の感情を、あの時の気持ちを、あの時の感じを···。 遠い後日でも思い出したら、伝えるようにしよう。 俺も柊と隠しことなく相談できることが、本当に嬉しかったって。

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#기타

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